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プロヴァンス滞在記 (管理人の日記です)
■この記事は若い頃の日記です■
2017/3/16~3/17に計画していた西穂高岳行きの準備中、何気なく昔の地図を開いたら、30年前の山行の日記が出てきた。
近年また冬山を始めるまで、この山行が私の雪山の最後だったこともあり、非常に感慨深く、データに起こしてみました。地図裏に書き殴った文章なので、極端に分かりにくい部分について加筆・訂正していますが、9割方は、ほぼ原文通りです。
このコースを選んだきっかけは、この年のGWに所属山岳会(稜朋会)の春合宿が無くて、「1人で何処に行こうかな?」って悩んでいた時に、引退した元パートナーと以前交わした会話:「西穂~ジャンダルム~奥穂って難しいの?」→「お前なら簡単だよ!」って言われたのを思い出して、軽い気持ちで、ロープもお金も持たずに(笑)夜行列車に乗り込んだ・・・って具合だったと思う。
かなり無謀だったと思う、若かったので。。。

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■5/3 雨
夜行電車で松本へ。
上高地に着いたのは明け方。
松本は降っていなくてラッキーと思っていたら、上高地に着いたらやっぱり雨。
あ~あ。

西穂山荘までの登りでバテバテになる。
雨がだんだんひどくなる。
西穂山荘で1時間程休む。
ここで張ろうかとも考えたが金がないので進む。
ここは400円/人だが資金ギリギリで来たので。
雨、ますますひどくなる。
思ったより雪が少なく、テントを張る所が心配。
もういやになった頃、テントを張れるスペース発見。お花畑の上の雪渓。
強い風雨の中で設営。12:30頃か?
ポールが組み立てれず(5年間酷使したテントで傷んでいたためジョイントが曲がって刺さらない)、ジョイントをナイフで削って苦戦・・・、その最中にふと見たら、メインポールが1本、雪面を流れて消えている!!マジかよ!って泣きそうになりながら急な雪壁を駆け下りて拾いに行ったり(70m程か?運良くブッシュのおかげで雪面に突き刺さっていて回収できた)と悲惨な設営。
体は汗と雨でビショビショ。EPIガスではとても乾きそうにない。
夕食:ラーメン。
6:00前頃、就寝予定。
4:30頃?5:00頃?雨が止んだ。
だが、ガスはかなり出ている。

■5/4 はれ 時々 曇り
夜中、寒くて寒くて、とても寝られたモノではない。
23:00頃、もうどうしようもなくて一度起きてガスをたく。
ついでに小用。雨が雪になっている。
明日ももし天気が悪かったら、天狗のコルから下りようなどと考え、また寝る。
3:00頃、また耐えられなくなり起きる。結局、そのまま出発まで起きる。
テント中のものすべてが凍っている。悲惨という以外の何ものでもない。
外は晴れている。
5:00頃なのにもう人が登ってくる。

▼何もかも凍ったつらい夜だった。もちろんシュラフも中までバリバリ。


6:00頃出発のつもりが、テントが凍りつき撤収できない。サブポールのジッパーが凍って動かずレバーが千切れた。仕方なくナイフでスリーブ自体を切る。うしろのサブポールは末端のストッパーが破れてポールが突き出ている。極めつけはポールのジョイントが凍り、外れない。EPIガスを出して炙って解かしながら撤収。
6:30頃の出発になる。

独標に7:30頃着。晴れている。
おかげで、着ているものはどんどん乾く。
しかしザックの中は・・・半分は氷?そのおかげかどうか、なかなかの重さだ。しかし、カサの割にはそれ程重くない。やはり登攀具がないせいだろう。

▼西穂高岳頂上直前で、振り返って御嶽山・焼岳・ピラミッドピーク。


▼西穂高岳頂上で。進行方向、奥穂高岳を望む。


▼西穂山頂までは登山者が多かったが、この先ジャンダルムまでは誰もいなかった。


9:00頃、西穂高岳。
この辺はなかなか調子よい。コースも楽勝。
が、そのアトから、まず天狗岩の登り、核心は4級くらい(アイゼンで)ある。いくら鎖つきといっても、冷や汗ダラダラ。

12:30 天狗のコル。
天狗のコルからはもうバテバテ。
しかしルートはどんどんシビアに、悪くなり、全く気がぬけない。
そして、きわめつけ、ジャンダルム。予定していた巻き道は雪がクサっていて使えない。
頂上に導かれるように登ってしまった。どうやって下りるか?
ちょうどコブ尾根を登ってきた大阪のパーティ。彼らがセットした懸垂ザイルにカラビナを1枚借りて通し、もし落ちても谷底まで飛ばされないようにだけして、ザイルには頼らずクライムダウンした。
ここから先はますます悪くなり、冷や汗ダラダラ。

▼馬の背。進行方向の奥穂高を写す。緊張感ピークの雪のナイフリッジ。


▼馬の背で。振り返ってジャンダルム。あれを乗り越えてきたのか・・・。


▼奥穂高岳(標高3,190m)に着いた!


もう体力的にも精神的にも疲れ果てて、奥穂高岳頂上。15:00 Just。
もう岳沢に行くのはイヤになり、ザイテンで涸沢へ。
立っているのもつらい程。
このルート、特にこの時期は、ザイルがないととてもではないが、ハッキリ言ってヤバイルートだったようだ。
疲労のせいで2日続けて食欲がない。
ガスボンベを使い切ってもいい気持ちでテントの中でシュラフを干す。だけどダメだろうなぁ、たぶん。
朝の撤収のときは、テントはもう立たないかも・・・と思ったけど、なんとか形になっている。
春合宿での涸沢テントは賑やかで楽しかったが、今回は1人きりテント。つまらない。
周囲のテントの楽しそうな声がうらやましい。

■5/5 曇り 時々 晴れ
7:00過ぎ、起きて撤収。
もう下るだけ。
12:00過ぎ上高地に着。

▼小梨平で。登った行程を振り返る。


▼河童橋。正面は焼岳。


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■後記■
行動中は余裕がなかったためか写真が少ないのが惜しまれる。
特に天狗のコル、ジャンダルムにかけての写真がないのが残念。
昔の山行は、厳しかった山行ほど写真がないものだ。意識して撮った山行でも岩壁登攀が終わって続く激しいラッセル時にカメラが雪に流されて紛失してしまったり・・・。
今のようにコンパクトデジカメでバシバシ撮れる環境は素晴らしいと思う。

ちなみにこの頃の私は本当に貧しくて、しかも時代的に装備も貧弱で、使っていたシュラフは最初期のダクロン3シーズン、ダウン製品なんてビンボーなので持ってなかった。ウールの下着・シャツの上は友人から寄贈のフリース(昔は高価だった)、パンツはジャージだった。
防寒着は会の先輩から寄贈のダブルヤッケで厳冬期を通したが・・・いまそんな装備で冬山に行ったら速攻で疲労凍死でしょうね・・・本当に若かった。懐かしい・・・。
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HN:
木村 三郎
性別:
男性
職業:
ひょっとしてプー?
趣味:
岩登り、旅
自己紹介:
ハンドルネームは使いません、こんな名前ですが本名です。
本名を使う理由は単純に、匿名で言いたい放題言う風潮が嫌いなだけです。。。
顔が小さいので背が高く見られがちですが、じつは167cmしかありません。しかもなで肩で、上へのリーチは身長160cmの人とあまり変わりません。もうちょっと背が欲しかった。。。
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